今回のゲストは、建築と設計のランドスケープデザインの二つの専門性をもって、住宅や大学キャンパスなどの計画、設計に関わりながら、京都市の「ちびっこひろば」など地域空間の活性化支援も行っている、実務家、研究者の武田史朗さん。パブリック(公共的)なオープンスペースがうまく使われて維持されるには、同時にその場所がプライベート(私的)であることも重要、とうパラドキシカルな話について、事例を通して伺う。
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東洞院通りには、御射山公園がある。この公園と隣接し高倉小学校がある。小学校と公園が隣接する構成は「関東大震災復興52小公園」と似ており、もしかすると、何かしらの関係性があるかもしれないという話は興味深く、また大津市歴史資料館所有「路上での遊び」の写真にて、当時の道路は子どもたちにとっては遊び場だった。当たり前の日常風景写真に、懐かしさを感じると共に、現代のみちは、本来みちがもつ豊かさや何か大切なものを見失っているのではと感じた。国内だけでなく、Giambattista Nolliの公共空間をアクセシビリティーに置換えた地図の話、ペイリーパーク建設当初からの変化や、ブライアントパークの使われ方、ホストのいる状況による効果の出方について、等々の話。また、自身が携われた「ちびっこひろば」における試みでは、地域を巻き込んだ、体験学習型、娯楽交流型を提案。立命館大学大阪いばらきキャンパスでは、防災公園、市民開放施設、大学新キャンパスを一体的に整備し、地域・社会に開かれたキャンパス作りでの話、管理・制度とかかわる人とコラボレートする時にデザインがとても重要な要素であることについて。福良港津波防災センターランドスケープでは、建築ありきのランドスケープとしての姿を、建築設計もこなせる氏だからこそ、提案できる緻密なランドスケープデザインでの解をみせてい頂いた。小さなスケールから壮大なスケールまでを巧みに操れるのは、建築についても、またランドスケープや都市空間についても熟知している氏だからこそと思われる。著書に「イギリス自然葬地とランドスケープ―場所性の創出とデザイン」「自然と対話する都市へ: オランダの河川改修に学ぶ」などあり。
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